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  2. 30代男性:助手席同乗中に追突を受けた事故による頚部捻挫、腰部捻挫で約290万円を回収した事例

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  5. 50代女性:赤信号で停止中に、後ろから加害車両に追突された事故による頚椎捻挫等で約325万円を回収した事例

  6. 40代男性:赤信号で停車中に、後ろから追突された事故による頚椎捻挫等で約285万円を回収した事例

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  8. 50代女性:右折のため停車していたところに追突を受けた事故による頚部捻挫、腰部捻挫で約235万円を回収した事例

  9. 20代男性:徒歩で横断歩道横断中に交差点を左折した車両が衝突事故による頚椎捻挫で270万円を回収した事例

  10. 50代女性:右折のため停車していたところに追突を受けた事故による頚部捻挫、腰部捻挫で280万円を回収した事例

  11. 20代男性:出会い頭に衝突した事故による頚椎捻挫で約300万円を回収した事例

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後遺障害の診断名と傷病名

後遺障害の診断名と傷病名

診断名と予測される後遺障害等級

医師から告げられた診断名から、症状固定後にどのような後遺障害等級が認定される可能性があるかについて、説明します。なお、ここに記載されている後遺障害等級が当然に認定されると言うことではありません。同じ診断名でも症状の程度により、変わりますし、立証できるかという問題もあります。あくまで参考程度にご覧ください。

◎頭部の外傷等

・脳挫傷、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、びまん性軸索損傷、外傷性てんかん、高次脳機能障害
→(獲得しうる後遺障害等級 1級、2級、3級、5級、7級、9級、12級、14級 )
・遷延性意識障害→(獲得しうる後遺障害等級 1級)

◎せき柱の傷病等

・せき柱圧迫骨折、破裂骨折→(獲得しうる後遺障害等級 6級、8級、11級)

◎上肢の傷病等

・鎖骨骨折 →(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級)
・肋骨、胸骨、肋軟骨、肩胛骨骨折→(獲得しうる後遺障害等級 12級)
・肩鎖関節脱臼→(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級)
・肩腱板断裂 →(獲得しうる後遺障害等級 8級、10級、12級)
・上腕骨骨折、橈骨骨折、尺骨骨折→(獲得しうる後遺障害等級 7級、8級、12級)
・尺骨神経麻痺→(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級、14級)
・橈骨神経麻痺→(獲得しうる後遺障害等級 10級)
・神経根引き抜き損傷→(獲得しうる後遺障害等級 5級)
・上腕神経叢麻痺→(獲得しうる後遺障害等級 5級)
・肘関節脱臼→(獲得しうる後遺障害等級 12級)
・肘内側(外側)側副靱帯損傷→(獲得しうる後遺障害等級 12級)
・TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷→(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級)
・手舟状骨骨折→(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級)

◎下肢の傷病等

・大腿骨骨折、腓骨骨折、脛骨骨折→(獲得しうる後遺障害等級 5級、8級、10級、12級)
・骨盤骨骨折→(獲得しうる後遺障害等級 12級)ただし、産道の狭窄があれば、別途11級
・股関節脱臼骨折→(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級)
・大腿骨転子下骨折→(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級)
・外側(内側)側副靱帯損傷→(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級)
・前十字(後十字)靱帯損傷→(獲得しうる後遺障害等級 10級、12級)
・腓骨神経麻痺 → (獲得しうる後遺障害等級 7級)
・距骨骨折→ (獲得しうる後遺障害等級 10級)
・中足骨骨折→(獲得しうる後遺障害等級 12級)

◎むち打ち

・外傷性頚部症候群、頚椎捻挫、頚部捻挫、頚椎挫傷、頚椎神経根症、頸椎椎間板ヘルニア
→(獲得しうる後遺障害等級 12級、14級)
・外傷性腰部症候群、腰椎捻挫、腰部挫傷→(獲得しうる後遺障害等級 12級、14級)

傷病名から見る後遺障害

部位 傷病
びまん性脳損傷・びまん性軸索損傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷、くも膜下出血(外傷性)、外傷性てんかん
変形性頚椎症、頸椎椎間板ヘルニア、頚部神経根症、胸郭出口症候群、外傷性頚部症候群、頚椎損傷、後縦靱帯骨化症、脊髄損傷
腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折、骨盤骨折
肋骨骨折
肩腱板断裂、鎖骨骨折、上腕骨近位端骨折、上腕骨骨幹部骨折、上腕骨遠位端骨折、肩関節脱臼と反復性脱臼、肩鎖関節脱臼
腕神経叢損傷、橈骨神経麻痺、尺骨神経麻痺、肘部管症候群、肘頭骨折、尺骨骨折、モンテジア骨折、橈骨骨折
舟状骨骨折、TFCC損傷、手根管症候群、手指の骨折
大腿骨近位部骨折、大腿骨骨幹部骨折、膝の靱帯損傷、半月板損傷、大腿骨顆上骨折(顆部骨折)、脛骨高原骨折、腓骨骨幹部骨折、脛骨骨幹部骨折、足関節顆部骨折、足部の骨折(距骨、踵骨、足根骨、中足骨、趾骨)

部位:頭

びまん性脳損傷・びまん性軸索損傷

1 傷病名
びまん性脳損傷(びまんせいのうそんしょう)、びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう)
2 傷病の原因等
まず、びまん性とは「病変がはっきりと限定されず広範囲にわたること」をいいます。つまり、この部分に損傷があるということがはっきりとわからず、おそらくこのあたり一帯に症状があるのだろう、という程度にしか場所を特定できない状態を言います。 びまん性脳損傷は、交通事故などの回転加速度を生じる衝撃を受けることにより、脳実質が強く揺さぶられ、広範囲に脳の実質の損傷が起こることを言います。 びまん性脳損傷には、
①脳震盪と
②びまん性軸索損傷があります。
①の脳しんとうは、傷を受けた場合を言います。ちょうど、電気のコードが内側に銅線があって、外側がゴムやビニールでコーティングされている場合の銅線が軸索と考えるとわかりやすいと思います。電気のコードの外側から見ると何も異常はないけれど、中身の銅線が切れているような状態がびまん性軸索損傷といえます。
3 症状
びまん性脳損傷は、頭部CTではわかりにくいこともあるため、その場合はMRIにより検査をする必要があります。びまん性軸索損傷は、受傷直後からの意識障害があることが特徴です。
4 治療の内容
びまん性脳損傷、脳震盪、びまん性軸索損傷は、ともに保存的療法が原則となります。
5 後遺障害
高次脳機能障害として、1級から14級に認定される可能性があります。 特に、びまん性軸索損傷の場合は、予後は不良であり、上位の等級に該当するような後遺障害が残る可能性があります。 詳しくは、高次脳機能障害のページを参照下さい。 高次脳機能障害の場合は、1年から1年半で症状固定となります。

急性硬膜外血腫

1 傷病名
急性硬膜外血腫(きゅうせいこうまくがいけっしゅ)
2 傷病の原因等
急性硬膜外血腫とは、頭部外傷による頭蓋骨骨折に伴い、頭蓋骨と密着している硬膜表面の動脈が切れて、頭蓋骨と硬膜の間に血腫ができる状態を言います。 交通事故においても、歩行中に車に衝突して、どこかに頭部を強く打ち付けるなど、頭部に直接強い衝撃が加わった場合に発生します。
3 症状
受傷時に、一時的に意識障害を呈し、その後いったん意識は回復して意識清明となった後、徐々に血腫が増大するにつれて、脳幹への圧迫が起こり、意識の低下をはじめます。 頭痛、片麻痺、昏睡状態となることもあります。早期に発見・対処することにより、予後は良好となります。 頭蓋骨の骨折はレントゲン検査でわかりますが、血腫の状態を確認するには、CTが有効です。
4 治療の内容
症状が軽い場合は保存的療法がとられます。血腫の大きさと症状の程度によって、開頭血腫除去術が行われます。脳損傷を伴うか、発見した時期はいつか、血腫の増大が休息かどうかにより、手術がなされるか、あるいは後遺障害が残るかが変わります。
5 後遺障害
脳損傷を伴うなど、後遺障害が残る場合には、高次脳機能障害として、1級から14級に認定される可能性があります。 詳しくは、高次脳機能障害のページを参照下さい。 高次脳機能障害の場合は、1年から1年半で症状固定となります。

急性硬膜下血腫

1 傷病名
急性硬膜下血腫(きゅうせいこうまくかけっしゅ)
2 傷病の原因等
急性硬膜下血腫とは、頭部外傷により、硬膜とくも膜の間に血腫ができる状態をいいます。脳挫傷を伴うことが多いといえます。一般的に硬膜外血腫と比較すると重篤な場合が多いと言えます。 CTにより症状を検査します。
3 症状
受傷直後から、意識の低下が起こることが多いと言えます。 急激に血腫が増大し、重篤な症状になることもあります。 その場合は、瞳孔不同、片麻痺、呼吸異常等の症状が見られます。
4 治療の内容
血腫が大きい場合、血腫の影響で神経症状等がある場合は、手術が行われます。
5 後遺障害
高次脳機能障害として、1級から14級に認定される可能性があります。 詳しくは、高次脳機能障害のページを参照下さい。 高次脳機能障害の場合は、1年から1年半で症状固定となります。

脳挫傷

1 傷病名
脳挫傷(のうざしょう)
2 傷病の原因等
脳挫傷とは、頭部に強い外力が加わり、脳が頭蓋骨と衝突して脳実質が損傷した状態を言います。 スーパーで買う豆腐をイメージして下さい。パックに入った豆腐を落としたりすると、パックはまったく壊れていないのに、中身の豆腐が崩れる事があります。同じように、頭蓋骨の骨折等がなくても、中身の脳に損傷が起こることがあります。それが脳挫傷です。 脳挫傷には、衝突した側に起こる直撃損傷と、衝突と反対の側に起こる反衝損傷があります。交通事故においては、反衝損傷が多く、重篤なケースもよく見られます。
3 症状
一口に脳挫傷と言っても、その症状は部位や損傷の程度により様々です。 頭痛、けいれん、運動感覚麻痺、視野欠損、意識障害等が見られます。 昏睡状態となることもあります。 診断は、頭部CT検査により行われます。
4 治療の内容
脳挫傷そのものに対する治療としては、保存的療法が原則となります。 ただし、付随して起こる出血や脳浮腫、頭蓋内圧亢進等の症状や程度によっては、開頭血腫除去術や減圧術などの外科的治療が行われることもあります。
5 後遺障害
高次脳機能障害として、1級から14級に認定される可能性があります。 詳しくは、高次脳機能障害のページを参照下さい。 高次脳機能障害の場合は、1年から1年半で症状固定となります。

くも膜下出血(外傷性)

1 傷病名
くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)
2 傷病の原因等
頭部の構造は、外側から①頭皮→②頭蓋骨→③硬膜→④くも膜→⑤軟膜の順で包まれています。 硬膜のさらに内側にあるのがくも膜です。くも膜下出血という傷病名はよく聞かれたことがあると思いますが、交通事故のような外傷性の場合にもくも膜下出血は発生します。
3 症状
くも膜下出血の特徴的な症状は、「バットで殴られたような頭痛」、「頭が割れるように痛い」と形容されることがあります。突然の頭痛や嘔吐、悪心なども症状としてあげられます。 一口にくも膜下出血と言っても、その程度は様々です。 症状が重い場合は、意識障害を起こしたり、片麻痺、動眼神経麻痺等の神経脱落症状が出ることもあります。頭部CTにより診断がなされます。
4 治療の内容
症状によりますが、外傷性の場合は、手術がなされることも多いようです。
5 後遺障害
高次脳機能障害として、1級から14級に認定される可能性があります。 詳しくは、高次脳機能障害のページを参照下さい。 高次脳機能障害の場合は、1年から1年半で症状固定となります。

外傷性てんかん

1 傷病名
外傷性てんかん(がいしょうせいてんかん)
2 傷病の原因等
てんかんには、遺伝性のものなどの様々な原因がありますが、交通事故をきっかけとして発症する場合は、脳挫傷や頭蓋骨骨折等の脳に大きなダメージを受けた後に発症するケースがあります。
3 症状
てんかんにより発作が起きます。発作は、
①強直性発作と
②間代性発作にわかれます。
強直性発作は、体幹・四肢がぎゅっと固くなり、背中を弓なりにそらせるような状態になります。間代性発作は、がくがくと四肢がリズミカルに震える症状です。 発作がないときでも、症状が進んでくると、認知症や人格変化等の高次脳機能障害そのものと区別がつかない症状が発症することもあります。 CTやMRIにより診断されます。
4 治療の内容
薬物療法または外科的療法がなされます。
5 後遺障害
高次脳機能障害として、1級から14級に認定される可能性があります。 詳しくは、高次脳機能障害のページを参照下さい。 高次脳機能障害の場合は、1年から1年半で症状固定となります。

部位:首

変形性頚椎症

1 傷病名
変形性頚椎症(へんけいせいけいついしょう)
2 傷病の原因等
椎間板は、20歳ころまではみずみずしい状態ですが、それ以降は、年齢を重ねるごとに変性し(退行変性)、椎間板腔が狭くなり、椎骨に骨棘(こっきょく)が形成されていきます。これらの変化は加齢によるもので、交通事故による衝撃が原因ではありません。ただし、今まで症状がなく、交通事故の衝撃により痛み等の症状が出た場合には、損害賠償の対象となります。
頚椎症性脊髄症も同様に、加齢による退行変性が原因ですが、事故前は症状が生じず、事故による衝撃で痛みやしびれ等が発症することもあります。この場合も、交通事故をきっかけに症状が出たものとして、損害賠償の対象になります。
3 症状
頚部、上背部の痛みやこり感、頚部の可動域制限
4 治療内容
薬物療法や理学療法。レントゲンやMRIは必ず撮影しましょう。
5 後遺障害
神経症状により、14級9号または12級13号に該当する可能性があります。

頚椎椎間板ヘルニア

1 傷病名
頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)
2 傷病の原因等
頚椎椎間板ヘルニアが発生する原因にはいくつかあります。
一つは、椎間板の加齢による退行変性があります。椎間板がみずみずしさを失い、つぶれたような状態になり、後方に突出することにより、脊髄や神経根を圧迫することを原因に発症します。なお、椎間板ヘルニアがあるからといって必ず症状が出るわけではありません。
もう一つは、外傷性のものです。
交通事故などの強い衝撃を受けたことをきっかけとして、椎間板が突出し、椎間板ヘルニアが発症します。ここで重要なのは、医師に「外傷性」との診断名を受けるかどうかではありません。客観的に画像等を見て、医師がそのような症状を見ることができるかが重要です。
大切なのは、もともと椎間板ヘルニアがあったとしても、医師の診療を受けていたか、痛み等があったか、もともとは痛み等の症状がなかったのに、事故の衝撃をきっかけとして症状が出るようになったか、と言う点です。
年齢相応の退行変性があることは、被害者の責任ではありません。ただし、従来から痛み等の症状があったが、事故によりさらに増大したと言う場合は、もともと「疾患」を有していたとして、素因減額の対象になります(つまり、損害額の内、何割かを減額される可能性があるということです)。
3 症状
首、肩の痛み、重さ感、手指のしびれ、四肢麻痺
4 治療内容
保存療法が選択されます。薬物療法、理学療法、頚椎カラー装具による固定、神経ブロック注射、場合によっては手術
5 後遺障害
神経症状により、12級13号または14級9号に該当する可能性があります。

頚部神経根症

1 傷病名
頚部神経根症(けいぶしんけいこんしょう)
2 傷病の原因等
脊髄から枝分かれした8本の末梢神経が神経根です。椎間板の膨隆、突出や骨棘(こっきょく)の形成、靱帯の骨化などにより生じます。加齢による退行変性が一つの原因ですが、交通事故による衝撃によっても症状が発生することがあります。もっとも多いのがC7神経根で、次いでC6神経根に症状が発生します。
3 症状
頚部の痛み、可動域制限、疼痛、しびれ、冷感、筋力低下などが、神経根支配領域に生じます。
4 治療内容
保存療法(薬物等)、理学療法、場合によっては手術
5 後遺障害
神経症状として、14級9号または12級13号の対象となります。なお、可動域制限が生じたとしても、神経根症を理由としている場合、その部分については骨折等の器質的損傷がない限り、後遺障害等級認定の対象にはなりません。

胸郭出口症候群

1 傷病名
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
2 傷病の原因等
肩、上肢にかけての疼痛、こり感、しびれ等があり、肩関節や頚椎に異常が見られない場合に、胸郭出口症候群と診断されることがあります。第一胸椎、第一肋骨、胸骨に囲まれた部分を胸郭出口といいます。何らかの理由でこの隙間が狭くなり、神経や血管が圧迫されることにより、痛みやしびれなどが現れます。
胸郭出口症候群の診断においては、アドソンテスト、ライトテスト、ルーステスト、エデンテストなどの検査が有効です。また、MRA(血管撮影用のMRI)により診断がなされることもあります。
3 症状
肩、上肢の疼痛、しびれ、こり感等
4 治療内容
保存療法が基本となります。薬物療法やリハビリによっても改善されず、症状がひどい場合には、第一肋骨や頚肋の切除の手術がなされることもあります。
5 後遺障害
医師に胸郭出口症候群と診断されても、自賠責では必ずしも認定されるわけではありません。つまり、自賠責で同症状に認定されるのは証明が難しいのが現状です。12級13号または14級9号のケースが多いと言えます。

頚椎損傷

1 傷病名
頚椎損傷(けいついそんしょう)
2 傷病の原因等
交通事故においても強い外力が頚部にかかることにより発生します。頚椎部の脱臼や骨折を内容等する傷病です。
3 症状
当該部分の疼痛や、神経学的欠損が生じます。脊髄損傷を伴う場合は四肢麻痺等の重篤な症状になります。
4 治療内容
頚椎の骨折等の場合は、前方または後方固定術等の手術がなされます。
5 後遺障害
脊髄損傷を伴う場合は、自賠責1級の場合もあります。頚椎損傷と言っても、損傷の程度により、症状が全く異なりますので、症状に応じて後遺障害等級が認定されることになります。

後縦靱帯骨化症

1 傷病名
後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう・OPLL)
2 傷病の原因等
後縦靱帯骨化症は、頚椎によく発生します。脊柱管と頚椎の間にある後縦靱帯がなんらかの原因により骨のように硬くなり、脊髄を圧迫します。後縦靱帯骨化症の発症は、原因は特定されていませんが、交通事故の外傷により発生するものではありません。ただし、もともと後縦靱帯骨化症を有していても、必ずしも症状がないことも多く、交通事故による衝撃を原因として症状が発生することもあります。
このように、交通事故をきっかけとして症状が発生した場合も、交通事故と現在の症状の間には因果関係が認められます。なお、程度にもよりますが、もともと後縦靱帯骨化症を有していて、交通事故の衝撃により症状が発生した場合は、「素因減額」と言って、被害者に損害が拡大する原因があったのだから、損害のうち、3割から4割程度減額されることもあります。
3 症状
脊髄を圧迫することによる手指のしびれ、手指巧緻性障害、頚部や肩の痛みなど黄色靱帯骨化症(OYL)や前縦靱帯骨化症(OALL)と合併することがよくあると言われています。(いずれも交通事故を原因として発症するものではありません)
4 治療内容
程度に応じて、薬物療法や理学療法もありますが、椎弓形成術(脊柱管拡大術)などの手術をしなければならないこともあります。なお、厚生労働省指定の特定疾患の対象となっています。難病と言われていますが、症状が出ない人も多いといえます。
5 後遺障害
後縦靱帯骨化症そのものは、後遺障害の対象にはなりませんが、交通事故により、手指のしびれや頚部の痛み等が発生した場合は、14級9号または12級13号の対象となります。

脊髄損傷

1 傷病名
脊髄損傷(せきずいそんしょう)
2 傷病の原因等
交通事故においても、強い外力が加わったときに脊髄を損傷します。脱臼や骨折を伴うものと、脊髄だけが損傷する非骨傷性脊髄損傷があります。
3 症状
損傷の位置により症状も異なります。頚椎損傷の場合は、四肢に麻痺が出現します。胸椎、腰椎部位の脊髄損傷の場合は、下肢に麻痺が出現します。脊髄のような中枢神経系は、一度損傷すると現在の医療では、再生・回復の見込みは少ないと言われています。脊髄損傷と言っても、症状は様々で完全麻痺や不全麻痺の場合があります。
完全麻痺とは、脊髄が完全に切れてしまい、神経伝達機能が絶たれ、下肢が全く動かず、感覚も消失します。不全麻痺は、脊髄の一部が損傷、圧迫を受けることにより、神経が完全には機能消失せず、一宇の機能が残存する場合を言います。
4 治療内容
損傷された脊椎を固定し、損傷の広がりを予防したり、脊椎を再建する手術等を行います。
5 後遺障害
脊髄損傷の麻痺の症状に応じて、最高で1級に該当する可能性があります。なお、骨折を伴わない脊髄損傷として、中心性脊髄損傷という診断がなされることがあります。中心性頚髄損傷は、医師によっては幅広い診断をするケースがよくあります。したがって、中心性脊髄損傷との診断を受けたからといって、ただちにそれを前提に後遺障害が認定されるわけではありません。もちろん、逆に見逃されるケースもあるので、注意が必要です。脊髄が損傷した領域により、どの部位に後遺障害が残存するかが決まります。
C=頚椎
C5 肩の外転が困難
C5-6 ひじの屈曲が困難
C6 手関節の背屈が困難
C7 手関節掌屈、手指伸展、ひじ伸展が困難
C8 手指の屈曲が困難
T=胸椎
T1 手指の開排が困難
T2-T4 足と胴体の麻痺、乳首より下の感覚消失
T5-T8 足と胴体顆部の麻痺
T9-T11 足の麻痺、へそより下の感覚消失
L=腰椎
L1-2 股関節屈曲が困難
L3-4 大腿伸展が困難
L4-5 足関節背屈が困難

部位:腰

腰椎椎間板ヘルニア

1 傷病名
腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)
2 傷病の原因等
腰椎椎間板ヘルニアが発生する原因にはいくつかあります。
一つは、椎間板の加齢による退行変性があります。椎間板がみずみずしさを失い、つぶれたような状態になり、後方に突出することにより、脊髄や神経根を圧迫することを原因に発症します。なお、年齢を重ねるごとに椎間板ヘルニアを持っている人はかなりの数になりますが、椎間板ヘルニアがあるからといって必ず症状が出るわけではありません。
もう一つは、外傷性のものです。交通事故などの強い衝撃を受けたことをきっかけとして、椎間板が突出し、椎間板ヘルニアが発症します。
ここで重要なのは、医師に「外傷性」との診断を受けるかどうかではありません。大切なのは、もともと椎間板ヘルニアがあったとしても、医師の診療を受けていたか、痛み等があったか、もともとは痛み等の症状がなかったのに、事故の衝撃をきっかけとして症状が出るようになったか、と言う点です。年齢相応の退行変性があることは、被害者の責任ではありません。
ただし、従来から痛み等の症状があったが、事故によりさらに増大したと言う場合は、もともと「疾患」を有していたとして、素因減額の対象になります(つまり、損害額の内、何割かを減額される可能性があるということです)。第4-5腰椎間、第5腰椎―仙骨間に発生することが多いです。
3 症状
腰痛、下肢痛、片側臀部痛など
4 治療内容
通常は、保存療法が選択されます。薬物療法、理学療法、神経ブロック注射、下肢の痛みがひどい場合や麻痺が進行する場合には手術が選択されることもあります。
5 後遺障害
神経症状により、12級13号または14級9号に該当する可能性があります。

変形性腰椎症

1 傷病名
変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)
2 傷病の原因等
椎間板は、20歳ころまではみずみずしい状態ですが、それ以降は、年齢を重ねるごとに変性し(退行変性)、椎間板腔が狭くなり、椎骨に骨棘(こっきょく)が形成されていきます。これらの変化は加齢によるもので、交通事故による衝撃が原因ではありません。ただし、今まで症状がなく、交通事故の衝撃により痛み等の症状が出た場合には、損害賠償の対象となります。
3 症状
腰痛、神経性の疼痛
4 治療内容
薬物療法や理学療法。レントゲンやMRIは撮影しましょう。
5 後遺障害
神経症状により、14級9号または12級13号に該当する可能性があります。

腰部脊柱管狭窄症

1 傷病名
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
2 傷病の原因等
脊柱管の狭窄そのものは、加齢による退行変性により発生します。
椎間関節や黄色靱帯が肥厚したり、椎間板が膨隆、突出することにより脊柱管が狭窄つまり、一部分が細くなり、神経が圧迫されることにより症状が出現します。もともと脊柱管狭窄があったとしても、必ずしも症状が出現するわけではありませんので、事故による衝撃をきっかけに症状が現れた場合は、損害賠償の対象となります。なお、脊椎の圧迫骨折により、脊柱管狭窄が生じる場合もあります。
3 症状
長時間歩行したり、立ったままの姿勢を一定時間継続すると、臀部や下肢にしびれ、痛み等が現れます。
4 治療内容
基本的には保存療法が選択されます。薬物療法、神経ブロック注射、コルセットによる固定など。
歩行障害が進行したり、日常生活への支障が大きい場合は手術をする場合等があります。
5 後遺障害
神経症状により、14級9号、12級13号に該当する可能性があります。

腰椎圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)

1 傷病名
腰椎圧迫骨折(ようついあっぱくこっせつ)
2 傷病の原因等
高齢者の骨粗鬆症を原因とする圧迫骨折もありますが、交通事故においては年齢に関係なく、腰椎に強い外力が働いた場合に腰椎圧迫骨折が発生します。
3 症状
腰痛や腰の疲れやすさ、脊椎が大きくずれる場合には、脊髄が損傷し、神経の麻痺等が生じます。
4 治療内容
コルセット等による保存療法がなされることが多いですが、圧迫骨折が高度であったり、脊髄損傷を伴うような場合は、手術により脊髄の圧迫を取り除くことになります(バルーン法)。
5 後遺障害
腰椎圧迫骨折は、保存療法がなされることが多いため、「せき柱の変形」が残ることが多いと言えます。その変形の程度によって、後遺障害6級、8級、11級に認定される可能性があります。
また、可動域制限がある場合は、その程度に応じて、8級10級12級に認定される可能性があります。

骨盤骨折

1 傷病名
骨盤骨折(こつばんこっせつ)
2 傷病の原因等
骨盤は、恥骨、腸骨、仙骨等で構成され、前部は恥骨結合、後部は仙腸関節で結合されています。
交通事故の場合は、歩行中に交通事故の被害に遭った場合に見られます。
3 症状
外観上の変形、疼痛、腫れ、圧痛等が見られます。場合によっては、血管や内臓の損傷を伴うことがあります。出血性ショックを起こすことがあります。骨盤骨折で損傷しやすい臓器は、腎臓、膀胱、子宮、膣、腸管、肛門等があります。
4 治療
症状により、出血性ショック等の全身状態の管理が優先されます。
骨折部の治療は骨盤輪の不安定性により選択され、保存療法から手術の場合(創外固定器、スクリュー、プレートによる固定)があります。
5 後遺障害
骨盤骨の変形として、12級5号に認定される可能性があります。また、部位によっては股関節の可動域制限を伴う場合があり、8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。内臓損傷を伴う場合は、その内臓の症状に応じて後遺障害が認定されることがあります。
女性の場合は、骨盤骨の変形の場合に、自然分娩ができなくなることがあり、産婦人科の医師に確認してもらう必要があります。この場合は、別途後遺障害等級が認定されることがあります。

部位:胸

肋骨骨折

1 傷病名
肋骨骨折(ろっこつこっせつ)
2 傷病の原因等
胸部に直接または間接の外力がかかることにより発生します。交通事故の場合は、歩行中に交通事故に遭った場合に多く見られます。
3 症状
骨折部の痛み、運動痛などの疼痛、圧痛などがあります。患部が腫れたり、皮下出血が現れたりします。呼吸、咳、くしゃみをしたときに痛みが大きく出ることがあります。胸腹部の内臓損傷を伴う場合があります。
4 治療の内容
胸部固定帯(バストバンド)を使用し、保存療法がなされます。
肋骨の転位(骨のずれ)が高度な場合は、手術がなされます。
5 後遺障害
骨がきちんと癒合した場合でも、保存療法の場合は、骨の変形が残存しやすいと言えます。その場合は、肋骨の変形として、12級5号に該当する可能性があります。変形がない場合でも神経症状が残る場合には14級9号に該当する可能性があります。

部位:肩

肩腱板断裂

1 傷病名
肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)
2 傷病の原因等
腱板は、加齢により、退行変性が生じます。広い意味でのいわゆる五十肩の中には腱板断裂も含まれます。高齢者の場合は、特に症状を感じていなくても、部分的に断裂していることもあります。しかし、交通事故等の外部から強い衝撃を受けることで腱板が断裂することがあります。
3 症状
動かしたときに痛い、動かしたときは何でもなくても、後になって痛みが残る。後ろのものをとることができなかったり、肩を上げることができないという可動域制限を伴います。症状固定時に手を添えて動かせば肩はあがるけれども、添えた手を離した場合に、手が下に落ちてしまうドロップアームサインが見られます。
肩腱板断裂といっても、完全断裂の場合と全部が断裂したわけではない場合(不全断裂)の場合があり、不全断裂の場合は、症状は弱いと言えます。
4 治療の内容
保存療法が基本となります。三角巾等で肩関節を安静に保ちますが、断裂の範囲が広い場合や症状が重い場合は、手術が選択されることもあります。部位によっては、手術ができない場合があります。腱板断裂は、見逃されやすい症状です。肩があがらない、激痛が走るなどの場合は、肩腱板断裂の可能性を考え、早期に、肩の部位のMRI撮影をすることが重要です。事故から半年や一年経過してから、MRIを撮影しても、いつの時点で断裂したかがわからないので、事故と肩腱板断裂の因果関係が問題になることもあります。
最初の時点で肩の痛みについて医師に伝えておいた上で、MRIを早期に撮影することが重要です。
5 後遺障害
事故から半年経過した後に、症状固定となります。可動域制限の程度に応じて、後遺障害8級、10級、12級に認定される可能性があります。また、可動域制限等がない場合でも、痛みの残存の程度によっては、神経症状として12級13号または14級9号に認定される可能性もあります。

鎖骨骨折

1 傷病名
鎖骨骨折(さこつこっせつ)
2 傷病の原因等
鎖骨骨折は、交通事故においても、バイクに乗車中に事故に遭うなどした場合に、よく起こります。
3 症状
鎖骨骨折は、骨折の部位により、遠端位骨折、骨幹部骨折等があり、骨幹部骨折(中央1/3)が最も多いといえます。肩幅が狭くなったり、骨折部の変形、腫れ、疼痛が見られます。腕が上がらない等の症状があります。腕神経叢損傷がある場合は、しびれや麻痺が生じることもあります。
4 治療の内容
保存療法として、鎖骨バンドや包帯等で固定することが多いと言えます(保存療法)。
鎖骨は比較的骨癒合が良好であるため、多くは保存療法が選択されますが、骨折が複雑な場合、開放性骨折(骨折した骨が皮膚を突き破る)、周辺の神経や血管の損傷が激しい場合は、手術が必要になる場合があります。この場合は、ワイヤーやプレートで固定します。
5 後遺障害
症状固定となるのは、事故後半年が経過してからです。手術によりプレート等を埋めた場合に除去する手術をする場合は、その手術がなされてから半年経過した後に症状固定となります。運動量が減ることで、筋萎縮や関節の拘縮が起こることがありますので、医師の指導に従いリハビリをすることが重要です。
鎖骨の変形として、12級5号の後遺障害に該当する可能性があります。
鎖骨の骨折部位によっては、肩関節の可動域制限が残り、8級6号、10級10号、12級6号に該当する可能性があります。

上腕骨近位端骨折

1 傷病名
上腕骨近位端骨折(じょうわんこつきんいたんこっせつ)
2 傷病の原因等
上腕骨近位端骨折とは、肩から肘にかけての上腕骨のうち肩に近い部分の骨折をいいます。交通事故においては、肩の外側を強く打ったり、手をついたりした場合に発生し、バイクに乗車中の事故でよく見られます。
3 症状
骨折すると、自分では腕を上げられなくなり、疼痛と荷担関節の可動域制限が生じます。また、皮下出血のために患部が腫れ上がったり、腕の形が変形します。
4 治療の内容
骨折の程度により、保存療法がなされる場合と、手術をする場合があります。
5 後遺障害
骨が癒合した場合でも、肩関節の可動域制限として、その程度に応じて、8級6号、10級10号、12級6号に認定される可能性があります。

上腕骨遠位端骨折、上腕骨顆上骨折

1 傷病名
上腕骨遠位端骨折(じょうわんこつえんいたんこっせつ)
2 傷病の原因等
肩からひじにかけての上腕骨のひじに近い部分の骨折を上腕骨遠位端骨折といいます。交通事故の場合、バイクに乗車中に交通事故に遭った場合に、手をついて、肘関節が過進展することなどにより、発生します。上腕骨遠位端骨折には、上腕骨外顆骨折(じょうわんこつがいかこっせつ)、上腕骨内側上顆骨折(じょうわんこつないそくじょうかこっせつ)があります。上腕骨顆上骨折の場合は、骨折部の血流が阻害され、コンパートメント症候群やフォルクマン拘縮を生じる場合があります。また、橈骨神経、正中神経、尺骨神経の障害が残ることもあります。
3 症状
ひじ関節の疼痛やはれが見られます。血行障害によるフォルクマン拘縮は初期には手指の知覚障害等を伴いますのでその場合は医師に相談することが重要です。
4 治療の内容
骨折の部位により、保存療法や手術が選択されます。転位(骨のずれ)が少ない場合は、ギプスやシーネ(添え木)で固定します。中程度の転位がある場合は、徒手整復を行いギプス固定がなされます。徒手整復後に経皮的ピンニング(皮膚を通してワイヤーで固定する)等を行うこともあります。
5 後遺障害
肘(ひじ)関節の可動域制限により、8級5号、10級10号、12級5号に認定される可能性があります。
また、骨折の部位により、尺骨神経麻痺(しゃっこつしんけいまひ)、橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)、正中神経麻痺(せいちゅうしんけいまひ)を伴うことがあり、その場合は各神経の支配領域の可動域制限により10級10号、12級5号に認定される可能性があります。

肩関節脱臼と反復性脱臼

1 傷病名
肩関節脱臼(かたかんせつだっきゅう)、反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)
2 傷病の原因等
交通事故の場合、脇を閉じている時に肩の後ろ側を強く打つような状況が合った場合に起こります。肩関節脱臼をはじめてしたときの年齢が若いと反復性肩関節脱臼になりやすいと言われます。初回脱臼時に完治できないと、寝返りなどの軽微な外力でも脱臼しやすくなります。
3 症状
肩の激痛で腕が動かせなくなったり、肩の後方がへこみます。手がしびれることもあります。
4 治療
肩関節が完全に抜けていない場合(亜脱臼)と完全に脱臼している場合では整復の方法に違いがありますが、手術までは必要ないのが通常です。ただし、肩関節前方脱臼を繰り返すようになった場合(反復性肩関節脱臼)は手術を行うこともあります。一度目の脱臼後に再発する可能性は20%から50%程度と言われていますが、2回目の脱臼が起こった場合、その後の再発率は80%から90%になると言われ、脱臼するくせがついてしまうこともあります。
5 後遺障害
単なる脱臼であれば、後遺障害は残りません。脱臼というイメージからすると、症状は重くは内容に聞こえますが、肩関節脱臼の場合は、他の部分の骨折や靱帯損傷を伴うことが多くその場合は、後遺障害に認定される可能性があります。ですから、骨折等と比較しても、脱臼をあまくみることはできません。また、反復性脱臼の場合は、12級6号に認定される可能性があります。

肩鎖関節脱臼

1 傷病名
肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)
2 傷病の原因等
バイクに乗車中に交通事故に遭った場合に受傷します。肩鎖関節靱帯や烏口鎖骨靱帯が伸びたり、断裂したりすることにより、鎖骨の遠位端が浮き上がった状態になります。
3 症状
痛みのために、腕を上げることができないなどの症状が発生します。
4 治療
基本的に保存療法となりますが、手術が必要な場合もあります。
5 後遺障害
肩関節の可動域制限として、8級5号、10級10号、12級5号に認定される可能性があります。
また、鎖骨の変形として12級6号に認定される可能性があります。

部位:腕

腕神経叢損傷

1 傷病名
腕神経叢損傷(わんしんけいそうそんしょう)
2 傷病の原因等
腕神経叢とは、簡単に説明しますと、神経の束が頚部から鎖骨の下をとおり、腋の下まで草むらのように分岐している部位を言います。第5から第8頚髄神経根と第1胸髄神経根からなる神経の集まりが複雑に分岐しています。
交通事故により、頚部に牽引力が加わることによって、腕神経叢が引き延ばされて、発生します。
3 症状
損傷部位によって、上位型、下位型、全型に分類されます。
上位型では、肩やひじの運動が障害され、上腕から前腕外側に感覚障害が現れます。下位型では主に手指の運動が障害され、手の小指側から前腕内側に感覚障害が現れます。全型の場合は、肩から手までの運動障害、感覚障害が現れます。
4 治療
程度により、保存療法や神経移植術、筋肉移植術等の手術が行われます。
5 後遺障害
腕神経損傷は、その症状により、一上肢の用を廃したもの(肩、ひじ、手関節の3つの関節が10%以下しか動かない)として5級6号に認定される可能性があります。一上肢の二つの関節が用を廃したとされる場合は、6級6号となります。

橈骨神経麻痺

1 傷病名
橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)
2 傷病の原因等
上腕骨骨折等に伴い、橈骨神経が圧迫されることにより発生します。橈骨神経は、尺骨神経、正中神経と並んで、腕を走る大きな神経の一つです。
3 症状
上腕骨中央の外側の部分に障害がある場合、手関節及び手指の伸展ができなくなったり(下垂手・drop hand)、手の甲の親指側にしびれが現れます。ひじ間接の内側の部分に障害がある場合、手指の伸展ができなくなります(下垂指 drop finger)。
4 治療
就寝時の腕枕等の軽い圧迫で生じた場合(ハネムーン麻痺)は、症状は軽快します。交通事故の外傷等により発生した場合、原因が明らかでないものや一時的な圧迫による麻痺で回復可能性が高いものは保存療法が選択されますが、麻痺が進行する場合や症状が重い場合、骨折や脱臼の外傷による場合は、神経剥離術や腱移行術等の手術を行うこともあります。
5 後遺障害
下垂手が見られるようなケースでは、各関節の可動域により、8級6号、10級10号、12級6号に該当する可能性があります。ティネル徴候(神経障害末端部をたたくとその支配領域に疼痛が走る)が見られれば、傷害部位は特定されます。筋電図検査も有効です。

尺骨神経麻痺

1 傷病名
尺骨神経麻痺(しゃっこつしんけいまひ)
2 傷病の原因等
交通事故による尺骨神経の直接損傷や、他の傷病による圧迫により生じます。
3 症状
尺骨神経は、薬指外側1/2と小指の掌背側と手内筋を支配しています。尺骨神経が麻痺すると、手内筋の麻痺により薬指、小指のMP関節の過進展、PIP関節、DIP関節が曲がった状態となり、鉤爪指(claw finger)あるいは鷲手(claw hand)となります。
4 治療
症状が軽い場合は、保存療法により、症状が進行している場合は、手術によります。
5 後遺障害
指の可動域制限等については、10級10号、12級6号に認定される可能性があります。神経症状として、12級9号が認定される可能性もあります。

肘部管症候群

1 傷病名
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
2 傷病の原因等
肘部管症候群は、尺骨神経がひじの内側の肘部管で圧迫されて生じます。原因としては、必ずしも外傷に伴うものではなく、靱帯やガングリオン等の病変による圧迫もあります。交通事故の場合はひじ周辺の骨折に伴い、骨の変形が残る場合に生じることがあります。
3 症状
ひじの内側の痛み、薬指の小指側半分から小指までのしびれ、指を動かす動作が困難になる、握力の低下等、鉤爪指(claw finger)等の症状が生じます。肘部管部をたたくと、痛みやしびれが尺骨神経の支配領域に走ります(ティネル兆候)。また、肘屈曲テスト(ひじをしばらく曲げていると、しびれが悪化する)も診断には有効です。
4 治療
軽度の場合は、薬物療法等の保存療法、症状が重い場合や麻痺が進行する場合は手術がなされます。
5 後遺障害
事故から半年で症状固定となります。肘部管症候群の後遺障害診断においては、ティネル徴候が認められるかや、神経伝達速度検査により証明することが重要です。
神経症状としては、12級13号、14級9号に認定される可能性があります。指の可動域制限等については、10級10号、12級10号に認定される可能性があります。

肘頭骨折

1 傷病名
肘頭骨折(ちゅうとうこっせつ)
2 傷病の原因等
交通事故でバイク乗車中に、肘を直接地面についたような場合に発生します。
3 症状
ひじに痛みが発生し、ひじ関節部分が腫れ上がります。
4 治療
転位がない場合は保存療法、転移がある場合は手術を要する場合がある。
5 後遺障害
肘(ひじ)に可動域制限が残る場合は、その程度に応じて、8級6号、10級10号、12級6号が認定される可能性があります。

尺骨骨折

1 傷病名
尺骨骨折(しゃっこつこっせつ)
(尺骨近位端骨折、尺骨骨幹部骨折、尺骨遠位端骨折)
2 傷病の原因等
交通事故との関係はバイクに乗車中に交通事故に遭い、手を地面についた場合などに発生します。尺骨とは、ひじから手にかけての前腕部のうち、手の関節付近に出っ張りがある方の骨をいいます(関節部分に出っ張りがない骨が橈骨)
ひじに近い部分の骨折を近位端骨折、真ん中の部分の骨折を骨幹部骨折、手関節に近い方の骨折を遠位端骨折といいます。
3 症状
遠位端骨折の場合は、手関節部分にはれ、可動域制限が生じます。
近位端骨折の場合は、ひじ関節部分に痛みや可動域制限が生じます。
骨幹部骨折の場合は、痛みや神経症状が生じることがあります。
4 治療
転位が少ない場合は副木等で固定するなどの保存療法が、転位が大きいときは徒手整復または手術が行われます。
5 後遺障害
神経症状として、12級13号、14級9号、関節の可動域制限として8級6号、10級10号、12級6号に認定される可能性があります。

モンテジア骨折

1 傷病名
モンテジア骨折(monteggia fracture)
2 傷病の原因等
モンテジア骨折は、前腕部の尺骨骨折と橈骨頭の脱臼を合併した症状をいいます。転倒の際に、手をついたり、バイクに乗車中に交通事故にあった場合に起こる症状です。
3 症状
肘関節部の可動域制限や橈骨神経麻痺を合併する場合があります。
4 治療
尺骨の手術療法と、橈骨頭の徒手整復を行います。
5 後遺障害
関節の可動域制限について、8級6号、10級10号、12級6号に認定される可能性があります。

橈骨骨折

1 傷病名
橈骨骨折(とうこつこっせつ)
(遠位端、骨幹部、近位端)
手首に近い部分での骨折が橈骨遠位端骨折、ひじに近い部分の骨折が橈骨近位端骨折、中間部分の骨折が橈骨骨幹部骨折といいます。橈骨遠位端骨折には、骨片が手の甲側にずれたコレス骨折、掌側にずれたスミス骨折があります。
2 傷病の原因等
骨粗鬆症を有する高齢者に多く発生しますが、交通事故との関係では、バイクに乗車中に事故に遭い、手をついたときに発生しやすいといえます。橈骨とは、ひじから手にかけての前腕部のうち、手の関節付近に出っ張りがない方の骨をいいます(関節部分に出っ張りがある骨が尺骨)。ひじに近い部分の骨折を近位端骨折、真ん中の部分の骨折を骨幹部骨折、手関節に近い方の骨折を遠位端骨折といいます。
3 症状
遠位端骨折の場合は、手関節部分にはれ、可動域制限が生じます。掌を上にしたり下にしたりする回内・回外運動の制限も生じます。コレス骨折という類型の骨折では、「フォーク状変形」という変形が見られます。また、正中神経が圧迫されている場合は、親指から薬指までの感覚障害が起こることがあります。
近位端骨折の場合は、ひじ関節部分に痛みや可動域制限が生じます。
骨幹部骨折の場合は、痛みや神経症状が生じることがあります。
4 治療
骨の折れ方で治療法が変わります。レントゲン等の検査により診断されます。
転位が少ない場合は副木等で固定するなどの保存療法が、転位が大きいときは徒手整復または手術が行われます。橈骨遠位端骨折の場合は、整復操作をし、ギプス等で固定する場合、経皮ピンニング(皮膚からワイヤーを入れて固定する)、創外固定法、プレートを入れる方法等があります。
5 後遺障害
各関節の可動域制限として8級6号、10級10号、12級6号が認定される可能性があります。

部位:手

舟状骨骨折

1 傷病名
舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ)
2 傷病の原因等
交通事故の関係では、バイクに乗車中に交通事故に遭い、手をついたときにおこりやすいものです。舟状骨とは、親指の付け根と手関節の境目のあたりにある骨をいいます。
3 症状
背側の「解剖学的嗅ぎたばこ入れ(anatomical snuff box)」部分に痛みや腫れが生じます。
4 治療
転位が少ない場合は、ギプス固定等の保存療法、転位が大きいときは手術を行います。
5 後遺障害
手関節の可動域制限として、8級6号、10級10号、12級6号に認定される可能性があります。
また、神経症状として12級13、14級9号に認定される可能性があります。

TFCC損傷

1 傷病名
TFCC損傷(三角線維軟骨複合体 (Triangular FibroCartilage Complex))
2 傷病の原因等
TFCCは、手関節の外側(小指側)の手の付け根部分にある軟骨、靱帯の複合体を言います。バイクに乗車中に交通事故に遭い、地面に手をついたときによく発生する傷病です。
3 症状
手関節の可動域制限、手関節の痛み等。手関節を動かしたときにいわゆるクリック音がします。
4 治療
程度により、保存療法か関節鏡を使った手術をする場合があります。
5 後遺障害
可動域制限の程度に応じて、8級6号、10級10号、12級6号が認定される可能性があります。痛みのみの場合は、神経症状として、12級13号、14級9号が認定される可能性があります。

手根管症候群

1 傷病名
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
2 傷病の原因等
神経の束が集まる手根管というトンネルの部分で正中神経が圧迫されて生じる末梢神経障害を手根管症候群と言います。原因は必ずしも明らかではありませんが、交通事故との関係では、橈骨と尺骨の骨折があった場合に正中神経が圧迫され生じる場合があります。
3 症状
親指から薬指の半分にかけてのしびれが現れます。障害が進行してくると、親指の付け根の部分の筋肉がやせて、つまみ動作が困難になります(親指と人差し指でつくるOKサインができない)。
また、上肢全体に痛みが出ることもあります。手根管部をたたくと、親指から薬指にかけてのしびれが出ます(ティネル徴候)。また、ファーレンテストをすることにより、痛みの再現ができます。
4 治療
症状が軽い場合は、薬物(消炎鎮痛剤やビタミンB)や注射(手根管内腱鞘内注射)による保存療法がなされます。症状が重い場合は、手根管開放術等の手術療法がなされます。
5 後遺障害
手指の可動域制限がある場合は、7級7号から、14級に認定される可能性があります。しびれ等の神経症状が残存した場合は12級13号、14級9号が認定される可能性があります。

手指の骨折

1 傷病名
手指の骨折
指骨骨折(末節骨、中節骨、基節骨)、中手骨、手根骨
2 傷病の原因等
交通事故との関係では、バイク等に乗車中に交通事故にあい、転倒し、手をついたような場合に発生します。
3 症状
それぞれの受傷部位の痛み、はれ、可動域制限が見られます。
4 治療
部位や程度に応じて、保存療法や手術療法が選択されます。
5 後遺障害
手指の骨折による後遺障害は、その手指がどの指か等によりさまざまです。両手の手指を全部失った場合である3級5号から、親指以外のDIP関節の屈伸できなくなった場合の14級7号まで様々です。

部位:足

大腿骨近位部骨折

1 傷病名
大腿骨近位部骨折(大腿骨骨頭骨折、大腿骨頸部骨折、大腿骨頚基部骨折、大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折)
2 傷病の原因等
大腿骨は頑丈で、比較的大きな力にも耐えられますが、交通事故においても、相当大きな外力がかかった場合に、骨折します。
3 症状
骨折部の疼痛、立位・歩行困難、可動域制限などがあります。大腿骨の血管が損傷することにより、大腿骨頭壊死を合併することがあります。
4 治療
基本的に手術療法がなされます(ガンマネイルやネイルプレートによる固定術)。内側骨折は血液循環が悪いため、骨癒合が難しいと言えます。さらに、疼痛が少ないために、発見が遅れることがあります。骨頭壊死が生じた場合は、人工骨頭置換術や人工股関節置換術がなされます。外側骨折は、骨癒合は良好です。
腓骨神経麻痺等を合併することがあります。
5 後遺障害
症状固定は、事故から半年経過してからなされます。内側骨折などの発見が遅れた場合は手術後半とイット経過してから症状固定となります。
股関節の可動域制限の場合は、8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。なお、一下肢の用を全廃した場合(股関節、膝関節、足関節の可動域が10%以下のとき)は5級7号に認定される可能性があります。

大腿骨骨幹部骨折

1 傷病名
大腿骨骨幹部骨折(だいたいこつこつかんぶこっせつ)
2 傷病の原因等
交通事故との関係では、バイクに乗車中に事故に遭った場合に発生しやすいと言えます。骨折の内容も単純骨折から楔状骨折、複雑骨折と様々です。
3 症状
疼痛、歩行困難、出血性ショック等の合併の可能性あり。
4 治療
手術療法がとられることが多いです(ネイル固定、プレート固定、創外固定など)。
5 後遺障害
大腿骨の変形により12級8号が認定される可能性があります。

膝の靱帯損傷(前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯)

1 傷病名
膝の靱帯損傷(前十字靱帯(ACL)損傷、後十字靱帯(PCL)損傷、内側側副靱帯、外側側副靱帯など)
2 傷病の原因等
膝には、内側側副靱帯、外側側副靱帯、前十字靱帯、後十字靱帯の4本の靱帯があります。
交通事故による場合、膝の部分に大きな外力がかかると靱帯が損傷します。ひざがダッシュボードにぶつかって後十字靱帯が損傷を受けることがよくあります(ダッシュボード損傷)。膝関節は、可動域を確保するとともに、体重を支持するという機能があり、靱帯により関節が脱臼等しないように、保持されています。交通事故の被害に遭った際に、バイクに乗っていた場合にも受傷します。
3 症状
患部の疼痛、可動域制限、歩行が困難になります。
前十字靱帯損傷の場合は、ひざ崩れ(ひざに力が入らない)を起こすことがあります。
後十字靱帯損傷の場合は、疼痛と可動域制限が伴います。
4 治療
レントゲンでは靱帯は写らないため関節鏡やMRIの撮影により診断されます。前十字靱帯の損傷の場合は、多くの場合、前十字靱帯再建術を行います。後十字靱帯の損傷の場合は、保存療法が主体ですが、損傷の程度により再建術を行うこともあります。内側側副靱帯単独の損傷の場合は、保存療法がなされることが多いです。
5 後遺障害
前十字靱帯損傷及び後十字靱帯損傷の場合には、膝関節に動揺性が認められることがあり、8級7号、10級11号、12級7号が認定される可能性があります。

半月板損傷

1 傷病名
半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
2 傷病の原因等
大きく分けると、年齢的な要因と外傷性の要因に別れます。半月板は膝関節の安定と円滑な運動を担うひざのクッションの役割をしますが、加齢に伴い、変性していきます。交通事故により受傷する場合もあります。また、交通事故による場合は、前十字靱帯損傷等を合併することもあります。
3 症状
歩行時の疼痛、ひざのずれ、歩行障害、しゃがみ込んだり、正座をする場合の疼痛などがあります。
4 治療
半月板の損傷形態は、様々であり、保存療法で改善することもありますが、手術療法(一部の切除、縫合)等が選択されます。半月板の損傷はレントゲンからではわからないため、MRIを撮影する必要があります。手術をする場合は、関節鏡を用いて手術がなされます。
5 後遺障害
半月板損傷の場合は、神経症状として12級13号または14級9号に認定される場合があります。

大腿骨顆上骨折・大腿骨顆部骨折

1 傷病名
大腿骨顆上骨折、大腿骨顆部骨折(だいたいこつ・かじょう・かぶ こっせつ)
2 傷病の原因等
ひざ関節に近い部分での骨折をいいます。交通事故により、大きな外力が加わった場合にも発生します。
3 症状
受傷直後より、起立不能となります。患部に激痛が走り、腫れ、ひざ関節の可動域制限、ひざ関節の異常可動が認められます。
4 治療
転位が軽度の場合は、ギプス固定等の保存療法、重度の場合は、手術療法を行います(創外固定、プレート固定、髄内釘など)
5 後遺障害
ひざの可動域制限が残存した場合は、その程度により、8級7号、10級11号、12級7号が認定される可能性があります。可動域制限がない場合でも、神経症状として12級13号、14級9号が認定される可能性があります。

頸骨高原(プラトー)骨折

1 傷病名
頸骨高原(プラトー)骨折 (けいこつこうげんこっせつ)
2 傷病の原因等
頸骨のひざに近い部位は、関節面の骨の形状が平らなことから、高原(プラトー)と呼ばれます。交通事故においては、ひざ関節部分に過度の力(内反力、外反力など)が加わった場合に発生します。
3 症状
受傷直後より、起立やひざ関節運動ができなくなります。圧痛や腫れが出現します。
4 治療
多くの場合は手術療法となります。
5 後遺障害
膝関節の可動域制限として、8級7号、10級11号、12級7号が認定される可能性があります。

足関節顆部骨折

1 傷病名
足関節顆部骨折(そくかんせつかぶこっせつ)
2 傷病の原因等
足関節に過大な外力がかかることにより発生します。交通事故との関連では、バイクに乗車中に交通事故に遭った場合に多いと言えます。
3 症状
足関節は、脛骨、腓骨、距骨から構成されており、足関節部の骨折とは、脛骨、腓骨の足関節部分の骨折を言います。
外力が大きい場合は、脱臼骨折や開放骨折となる場合があります。症状は、足関節の可動域制限、疼痛、腫れがあります。腓骨神経麻痺等を合併することがあります。
4 治療
転位(骨のずれ)がなければ、ギプス等による固定の保存療法がなされますが、転位がある場合は、歩行に支障を来しますので、手術をすることが多いと言えます
5 後遺障害
足関節部の可動域制限として、8級7号、10級11号、12級7号が認定される可能性があります。

足部の骨折

1 傷病名
足部の骨折(そくぶのこっせつ)
2 傷病の原因等
足部には、距骨(きょこつ)、踵骨(しょうこつ)、足根骨(そっこんこつ)、中足骨(ちゅうそくこつ)、趾骨(しこつ)からなります。距骨、踵骨と足根骨の間の関節をショパール関節、足根骨と中足骨の間の関節をリスフラン関節といいます。踵骨骨折が足部の骨折では一般に一番多いと言われています。
3 症状
踵骨骨折では、かかとに荷重を受けられなくなるため、歩行が困難になります。強い疼痛や腫れがみられます。
4 治療
骨折の部位、症状に応じて保存療法や手術がなされます。
5 後遺障害
距骨の骨折の場合は、可動域制限として、8級7号、10級11号、12級7号が認定される可能性があります。また、そのほかの部位でも可動域制限や神経症状等により後遺障害等級が認定される可能性があります

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