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  6. 40代男性:赤信号で停車中に、後ろから追突された事故による頚椎捻挫等で約285万円を回収した事例

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後遺障害と慰謝料・逸失利益

後遺障害の投球によって、
損害賠償金が大きく変わります。

後遺障害の等級認定がなされた場合には、等級に応じて、慰謝料や逸失利益が認められます。ですから、後遺障害の等級認定は非常に大きな意味を持ちます。

医師に書いてもらった後遺障害診断書が非常に重要です。

後遺障害の等級認定がなされた場合には、その等級に応じて、慰謝料や逸失利益が認められます。ですから、後遺障害の等級認定は非常に大きな意味を持ちます。医師に書いてもらった後遺障害診断書の内容が、等級認定においては、非常に重要なものとなるため、保険会社に提出する前に、弁護士に内容を確認してもらうことをお勧めします。

後遺障害と慰謝料・逸失利益

後遺障害の等級認定

後遺障害の等級認定は、医師が作成する後遺障害診断書に基づいて、 一定の基準に該当するかどうかと言う観点から、自賠責の調査事務所が判断します(損害保険料率算出機構)

この場合に忘れてはならないことは、自賠責の調査事務所は、 やっていない検査はそのような検査をする必要がなかったからしなかった、 提出していない資料は存在しないものとして扱う ことになりますので、医師に後遺障害診断書を作成してもらう時点で、必要な検査は全て受ける必要があります。 具体的な認定の基準と自賠責に請求できる保険料額はこちら 「自賠責保険 後遺障害別等級表」 をご覧下さい。

後遺障害の慰謝料

裁判上の基準による後遺障害慰謝料は、次のとおりです。
()内は、自賠責保険から出る後遺障害の逸失利益・慰謝料を合わせた限度額です。
* 級の隣の数字は、「慰謝料」だけの数字です。ここに逸失利益が加算されますので、自賠責から出る金額と比較すると、相当高額な数字になります。
* 任意保険会社が示談で提示する金額は、合計しても、自賠責の金額に若干プラスしたものとなることが多いです。 また、保険会社が提示する金額は「逸失利益と後遺障害慰謝料の内訳を出さずに合わせて後遺障害の損害」などと記載されることもあります。

第1級 慰謝料だけで 2800万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 3000万円から4000万円)

第2級 慰謝料だけで 2370万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 2590万円)

第3級 慰謝料だけで 1990万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 2219万円)

第4級 慰謝料だけで 1670万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 1889万円)

第5級 慰謝料だけで 1400万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 1574万円)

第6級 慰謝料だけで 1180万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 1296万円)

第7級 慰謝料だけで 1000万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 1051万円)

第8級 慰謝料だけで 830万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 819万円)

第9級 慰謝料だけで 690万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 616万円)

第10級 慰謝料だけで 550万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 461万円)

第11級 慰謝料だけで 420万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 331万円)

第12級 慰謝料だけで 290万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 224万円)

第13級 慰謝料だけで 180万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 139万円)

第14級 慰謝料だけで 110万円
(自賠責、慰謝料と逸失利益で 75万円)

裁判上の基準で、慰謝料と逸失利益を計算する場合と、自賠責基準に少し上乗せしただけの任意保険基準は、等級が上になればなるほど、開きが出てきます。任意保険会社が提示した金額の2倍以上の請求が認められることもよくあります。 相談をされるだけでしたら、無料ですので、一度ご相談をされてから、示談するかどうかを考えても良いかと思います。

後遺障害の逸失利益

後遺障害の逸失利益とは、「もし、その交通事故がなくて、障害を負うこともなかったならば、これだけの収入は得られたはずだ!」 という場合の、①交通事故により負傷した→②後遺障害を負ったので、今までと同じようには働けなくなった→③本来は、働いて収入を得ることができた金額と減少した金額の差額のことを言います。

ただし、現実には、「後遺障害を負ったことによって現実に減った収入」を請求するというのは容易ではありません。

例えば、高校生が後遺障害を負ったという場合、現実にはまだ働いていないでしょうし(アルバイトは別ですが)、働いている人でも将来の収入が今の収入と同じとは限りません。 ですから、逸失利益というのは、ある程度フィクションの要素が含まれています。 つまり、この等級の障害を負った人は、労働能力がこのくらい減少するはずだ、という数値が客観的に定められています。

逸失利益の算定方法は、基本的には次のように行います。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

①基礎収入は、働いている人は事故時の収入になるのが原則です。 ただし、
・ 30歳未満の者について、将来はより高額な収入が得られる可能性があるときは、賃金センサスにより計算します。
・ 無職の人については、働く意欲と就労可能性があるときは、従前の収入を参考に計算します。
・ 年少者(幼児、児童、生徒、学生)等については、賃金センサスにより算定します。
・ 主婦などの家事従事者の場合は、賃金センサスにより算定します(主婦は収入がないから収入の減少がないという考え方はしません)。

② 労働能力喪失率は、後遺障害の等級によって、5%から100%まで決められています。 ただし、その人の年齢、職業、症状固定時の症状等によって、調整されることがあります。 変形障害や顔面の醜状傷害の場合は、一般的に等級表の喪失率がそのまま認められることは少なく、やや少ない喪失率となることが多いです。 (これもその人の症状との兼ね合いですので、ケースバイケースの判断となります。)

後遺障害等級と労働能力喪失率の関係は次のとおりです。

第1級  労働能力喪失率 100%
第2級  労働能力喪失率 100%
第3級  労働能力喪失率 100%
第4級  労働能力喪失率 92%
第5級  労働能力喪失率 79%
第6級  労働能力喪失率 67%
第7級  労働能力喪失率 56%
第8級  労働能力喪失率 45%
第9級  労働能力喪失率 35%
第10級  労働能力喪失率 27%
第11級  労働能力喪失率 20%
第12級  労働能力喪失率 14%
第13級  労働能力喪失率 9%
第14級  労働能力喪失率 5%

③ 労働能力喪失の期間も、ある程度決まっていますが、年齢、後遺障害等級、症状等に応じて、期間が変わります。

・基本的には67歳までの期間が労働能力喪失期間となります。
・年長者の場合は、67歳までの期間と平均余命の2分の1の期間と比較して長い方が労働能力喪失期間となります。

例1) 症状固定時62歳の男性の場合、67歳までの期間は5年です。
他方、62歳男性の平均余命は平成22年のデータでは21.22年ですので その2分の1である10年の方が、67歳までの5年よりも長いので、10年が労働能力喪失期間となります。

例2) 70歳で死亡した女性の場合は、すでに67歳はすぎているので、平均余命の2分の1の期間で労働能力喪失期間を計算します。
70歳女性の平均余命は平成22年のデータでは、19.53年ですので2分の1である9年が労働能力喪失期間となります。

・ いわゆるむち打ちの事案においては、14級の場合は労働能力喪失期間5年、12級の場合は10年とされるのが一般的です。
・ その他の事案も症状によっては、期間が短縮されることもあります。

④ ライプニッツ係数とは、中間利息を控除するための計算式の一つの方法を言います。他に有名な中間利息控除式としてはホフマン方式がありますが、 現在は、裁判所による算定は一般的にライプニッツ方式によります。 中間利息が引かれる理由は次のとおりです。

逸失利益は、将来にわたって、例えば30年の期間にわたり毎年損害が発生するものです。
そうすると、理論的には毎年毎年1年分を請求するのが筋のように思えます。

しかし、現在の損害賠償実務においては、このような考え方は基本的にはとっておらず、紛争を「一挙に解決」するために、一括して請求することになります。 本来30年後にもらえる逸失利益分も、現時点において一括して請求するため、今後は先取りした分の逸失利益からは財産を運用した利益が出せるだろうというのが基本的な考え方です。 したがって、純粋に基礎となる収入額に年数をかけて逸失利益を算定するのではなく、利息分は引いた前提での計算をします。 たとえば、むち打ちで14級になった年収500万円の被害者の逸失利益は次のように計算されます。 年収500万円×0.05(14級の喪失率)×4.3295(喪失期間5年のライプニッツ係数)=108万2375円

(参考)
ライプニッツ係数
5年  4.3295
10年 7.7217
15年 10.3797
20年 12.4622
25年 14.0939
30年 15.3725
35年 16.3742

知りたい方は、当事務所までご相談ください(無料で算定いたします。) * 加害者の保険会社が提示する逸失利益の金額をご確認ください。 通常は、労働能力喪失率を低く見るか、喪失期間を短くするか、基礎となる給与の額を低くするか、によって 裁判上の基準よりも低い提示がなされることが多いです。

慰謝料

本来、慰謝料とは精神的な苦痛を和らげるために金銭的な賠償をするものです。いうまでもなく、精神的な苦痛は人それぞれに異なりますし、精神的な苦痛とその人の収入などは関係がないはずです。しかし、その人の心の中を見ることは誰もできませんし、被害者に家族がいる場合は、現実の生活の保障という意味もあります。したがって、交通事故による慰謝料は一定程度定型化されています。

弁護士に依頼した場合、大幅に増加するのは、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益の3つです。

傷害の場合の慰謝料

傷害の場合の慰謝料は、入院期間、通院期間、傷害の内容、部位等によって決まります。
具体的には<表1>の通りになります(赤い本基準・むちうちの場合は<表2>になります)

入院だけの場合は入院の期間、通院だけの場合は通院の期間、入院後通院した場合は両方の交差する部分になります。 正確な計算は当事務所で行いますが、参考にしてください。

例) むちうちで通院が8ヶ月の場合は、<表2>の縦のラインを見ますので、103万円になります。
例) 腰椎の骨折で入院1ヶ月、通院6ヶ月の場合は、<表1>の入院1ヶ月の欄と通院6ヶ月の欄が交差する149万円となります。

 

表1
通院 入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

 

後遺障害の慰謝料

1 交通事故の後遺障害等級に認定された場合に、損害として認められる慰謝料は、原則として次の表のとおりになります。表が自賠責基準の慰謝料、右側の表が裁判基準の慰謝料です。

自賠責 裁判基準
等級 慰謝料 等級 慰謝料
14級 32万円 14級 110万円
13級 57万円 13級 180万円
12級 93万円 12級 290万円
11級 135万円 11級 420万円
10級 187万円 10級 550万円
9級 245万円 9級 690万円
8級 324万円 8級 830万円
7級 409万円 7級 1000万円
6級 498万円 6級 1180万円
5級 599万円 5級 1400万円
4級 712万円 4級 1670万円
3級 829万円 3級 1990万円
2級 958万円 2級 2370万円
1級 1100万円 1級 2800万円

表を比較していただくと、わかるように

(14級の例)  むちうちで14級に認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では32万円ですが、裁判基準では110万円となります。

(13級の例) 脾臓を摘出して13級に認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では57万円ですが、裁判基準では180万円となります。

(12級の例) 鎖骨の変形により12級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では93万円ですが、裁判基準では290万円となります。

(11級の例) せき柱の変形により11級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では135万円ですが、裁判基準では420万円となります。

(10級の例) 足関節の著しい機能障害として10級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では187万円ですが、裁判基準では550万円となります。

(9級の例) 顔に相当程度の醜状が残るものとして9級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では245万円ですが、裁判基準では690万円となります。

(8級の例) せき柱に運動障害を残すものとして8級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では324万円ですが、裁判基準では830万円となります。

(7級の例) 高次脳機能障害で7級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では409万円ですが、裁判基準では1000万円となります。

(6級の例) せき柱に著しい変形を残すものとして、6級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では498万円ですが、裁判基準では1180万円となります。

(5級の例) 高次脳機能障害で5級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で599万円ですが、裁判基準では1400万円となります。

(4級の例) 片方の足を膝関節以下で失い、4級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で712万円ですが、裁判基準では1670万円となります。

(3級の例) 高次脳機能障害で3級に認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で829万円ですが、裁判基準では1990万円となります。

(2級の例) 1眼を失明し、もう一方の視力が0.02以下になり、2級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で958万円ですが、裁判基準では2370万円になります。

(1級の例) 両上肢全廃のため1級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で1100万円ですが、裁判基準では2800万円となります。

このように、自賠責基準と裁判基準では、後遺障害の慰謝料が全く異なりますが、通常、加害者側の保険会社が提示するのは自賠責保険に近い金額です。
当事務所が依頼を受ける場合は、示談交渉のレベルでも必ず裁判基準により損害額を算定し、請求します。弁護士によっては、示談交渉レベルの際は、裁判基準よりも低い金額の慰謝料で示談することもあるようですので、事務所選びの参考になさってください。

後遺障害慰謝料の原則は前に述べたとおりですが、さらに増額が認められることもあります。 当事務所があつかった事案(後遺障害12級の事案)においても、ひき逃げをした加害者に対し、それを理由に裁判基準プラス100万円の慰謝料で示談したケースがあります。

このように、ひき逃げや無免許、酒酔い、著しいスピード違反、加害者の態度が著しく不誠実な場合等は、慰謝料の増額を主張していきます。

近親者の慰謝料

慰謝料は、事故の被害にあった本人が請求できるのが原則ですが、1級から3級の重い後遺症が残る事案においては、配偶者や両親、子ども等の家族にも慰謝料が認められることがあります。この場合も、被害者側から積極的に請求をしない限り、加害者側の保険会社は支払いませんので注意が必要です。

死亡の場合の慰謝料

死亡の場合の慰謝料について 一家の支柱であるときは、2800万円
(2800万円から3400万円の幅)

母親、配偶者は 2400万円(2400万円から3200万円の幅)
子ども、独身の男女は2000万から2200万円(2000万円から3200万円の幅)

がベースとなり、個々の事情により増減されます。 相手方の事情も考慮されます。(酒酔い運転、スピードの出し過ぎ、不誠実な態度等)

損害賠償請求の各手続について

損害賠償請求の手続には大きく分けて5種類の方法があります。

①示談交渉
②財団法人交通事故紛争処理センターを利用する
③日弁連交通事故相談センターのあっせん手続を利用する
④民事調停(裁判所)を利用する
⑤訴訟手続(裁判・裁判所)を利用する

財団法人交通事故紛争処理センターによる解決

財団法人交通事故紛争処理センターとは、交通事故を専門に取り扱う裁判外紛争解決機関です。基本的には、話し合いにより進めていきますが、あっせん委員から「あっせん案」がだされますし、合意に至らない場合は、最終的に「審査」の申立をすることができ、審査が出された場合は、保険会社(いわゆる損保会社のうち同センターと協定を締結している場合)はその内容を拒否することはできません。

【メリット】
・保険会社は、紛争処理センターからの呼び出しに応じる義務があるので、民事調停のように相手がこないことが通常はない。
・話し合いがベースになるので、証拠が不足している場合も妥当な結果となることがある。
・期間的に短くて済む可能性がある。
・審査の結果は、加害者側の保険会社は拘束するが、被害者側を拘束しないので、被害者が不当な結論だと考えた場合は、拒否することができるが、逆に保険会社が不当な結論だと考えても拒否できない。

【デメリット】
・あっせん委員は基本的に弁護士がなりますが、必ずしも、交通事故に精通した弁護士が担当するとは限らず、あっせん委員が誰になるかにより、結論が左右されやすい。
・東北地方においては、仙台にしかセンターの窓口がないため、仙台に赴く必要がある。
・裁判のように厳密な事実認定がなされるのではなく、「間をとった解決」になりやすい。

財団法人日弁連交通事故相談センターによる解決

日弁連交通事故紛争解決センターは、紛争処理センターに機能が似ています。

両者が違うところは、紛争処理センターが出した審査結果について、「保険会社を拘束する」と書きましたが、拘束される保険会社は○○保険株式会社という名前がついているような損保協会に加入している会社のみです。たとえば、JA共済、全労済などの共済系の機関は拘束しません。 逆に日弁連交通事故相談センターは、審査の結果につき、JA共済や全労済等の機関を拘束します。ですから、相手の保険会社がどこであるかにより、使い分ける必要があります。

なお、現時点に関して言うと、紛争処理センターはなかなか期日が入らず、時間がかかる傾向にあるのに対し、日弁連交通事故センターは比較的早期に期日が入ります。(これは、状況により変わりうると思いますので、絶対的な違いではありません。)また、比較的交通事故に精通している弁護士があっせん委員になっているケースが多く、裁判基準での解決が可能なこともよくあります。

メリット、デメリットは紛争処理センターと同じと考えて良いでしょう。

民事調停

民事調停とは、裁判所に調停を申し立てて解決する方法です。裁判所を利用しますが、強制力はありません。

【メリット】
・証拠が弱い場合にも、あくまで話し合いなので妥当な解決を図ることが可能な場合があります。
・裁判まで起こしたくないという人にとっても、裁判所を通した話し合いなので心理的なハードルは低いと言えます。
・訴訟ほど厳密な主張等が求められません。

【デメリット】
・調停委員は、弁護士等の専門家がつくケースが多いと言えますが、必ずしもそうではないので、一般の調停委員が就いた場合、交通事故の知識がない可能性があります。
・調停はあくまで話し合いのため、両者で話がととのわない場合、強制的に解決できず、結局は裁判にせざるを得ません。
・調停にする場合と訴訟にする場合とで時間や準備にそれほど差はないので、証拠がない場合などの特殊なケース以外は利用しない方が良いと言えます。

訴訟(裁判による解決)

損害賠償請求を確実に適正な額を得るうえで、訴訟は重要な手続です。

【メリット】
・裁判所の判決による手続なので、話が折り合わなくても最終的な解決がなされる。
・背景に判決という裁判所の強制力があるため、話し合いによる解決(和解)も期待できる。
・損害賠償額は裁判基準となるので、適切な金額の結論が出る可能性が高い。

【デメリット】
・事案によっては、時間がかかる。
(難しい事案であれば、2年かかることもある一方で、多くの事件は半年以内に解決しますので、それほどデメリットではありません)
・厳密に手続が進行していくので、本人が自分で対応することがむずかしい(弁護士に依頼する必要性など)
・証拠がきちんとそろっていない場合等は、損害として認められにくい。

示談交渉

示談交渉とは、加害者の保険会社と直接交渉することにより、損害賠償額を定める手続を言います。

【メリット】
・特に決まった形式があるわけではないので、必要な書類が揃い次第、交渉を開始できます。
・時間的には最も最短で済む可能性があります。
・示談交渉においても、裁判基準での賠償を実現することができる場合もあります。

【デメリット】
・何の強制力もないため、保険会社は「適正な損害額」を提示しないことがあります。
・保険会社によっては、時間だけが経過して何も決まらない可能性があります。
・時効が間近に迫っている場合は、時効を中断することができないので、別途時効中断の手続をとる必要があります。

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  12. 交通事故が実際に起きたら

    もしも、自身が交通事故の被害者になってしまったときの対処法は次の通りです。

  13. 事故等が原因で死亡した場合

    1 加害者に損害賠償請求をで…

  14. 後遺障害の診断名と傷病名

  15. 解決までの手続の流れ

    交通事故発生から、解決までの手続の流れは次のとおりです。